キリスト教のカトリックとプロテスタントの違いをわかりやすく解説!

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タイトル画像(カトリックとプロテスタントの違い)

キリスト教には多くの宗派があり、中でも「カトリック」と「プロテスタント」という2つの宗派が代表的です。

この記事では、カトリックとプロテスタントの違いをわかりやすく解説します。

  • カトリックとは
  • プロテスタントとは
  • カトリックとプロテスタントの違い

カトリックとは

ステンドグラスの写真

カトリックはキリスト教の中で最も古く、伝統的な宗派です。

「カトリック(Catholic)」は「普遍的な」という意味で、すべての人に開かれた教会であることを表しています。

カトリックはキリスト教の最大宗派であり、世界のキリスト教徒のおよそ50%を占めています。

プロテスタントとは

レンガの前の十字架

プロテスタントは、16世紀の宗教改革によってカトリックから分かれた宗派です。

「プロテスタント(Protestant)」という言葉は、「抗議する者」という意味で、当時のカトリック教会に対して人々が信仰の自由を主張したことに由来します。

プロテスタントは、教皇や伝統ではなく、聖書を唯一の基準とする点が大きな特徴です。

プロテスタントはキリスト教徒の約35%を占め、アメリカやヨーロッパ北部などで広く信仰されています。

カトリックとプロテスタントの違い

クエスチョンマーク

違い①:教皇がいるかどうか

カトリックには、教会の最高指導者として「教皇」が存在し、その下に「枢機卿」、「大司教」といった役職があり、各教会を管理しています。

一方、プロテスタントでは教皇やその下の序列は存在しておらず、それぞれの教会が独立しています。

階層の有無

違い②:聖書のみか、伝統も重視するか

カトリックは聖書のみではなく、教皇の教えや伝統を重視します。

一方、プロテスタントでは「聖書のみ」を基準としています。

重視するものの違い

違い③:儀式が豪華かシンプルか

カトリックでは豪華な儀式を行いますが、プロテスタントでは聖書の朗読を中心としたシンプルな礼拝が行われます。

儀式の豪華さ

違い④:聖職者が結婚できるかどうか

キリスト教では教会で働く「聖職者」という人々がいます。

この人々のことをカトリックでは「神父」、プロテスタントでは「牧師」と呼びます。

カトリックの神父は神に仕える特別な地位のため、結婚することが許されていません。

一方、プロテスタントの牧師は他の信者と同等の地位とされていて、結婚も認められます。

神父と牧師

違い⑤:聖母マリアを信仰の対象とするかどうか

カトリックではイエス・キリストの母である聖母マリアに祈りをささげることが一般的ですが、プロテスタントでは神以外への祈りを認めません。

祈る対象

カトリックとプロテスタントの歴史

世界地図

中世ヨーロッパのカトリック教会(4〜15世紀)

カトリック教会は、313年にローマ皇帝コンスタンティヌスがキリスト教を公認したのをきっかけに勢力を拡大し、392年にローマ帝国の国教となりました。

コンスタンティヌス皇帝の写真

コンスタンティヌス皇帝(270頃 - 337)

その後、カトリック教会のトップである「教皇」がヨーロッパ社会で強大な宗教的・政治的権力を握るようになります。

教会の腐敗(15〜16世紀)

しかし、15世紀〜16世紀初頭には、教会の権威が乱用され、贅沢や腐敗が目立つようになりました。

特に問題となったのが、教会による「贖宥状」の販売です。

贖宥状とは、罪に対する神の罰を軽くするものです。

つまり簡単に言えば、お金を払うことでそれまでの人生で犯してきた「罪」を許してもらうことができるということです。

贖宥状を買うために並ぶ人々

贖宥状を買うために並ぶ人々(中世の風刺画)

教会が免罪符を独占的に販売したことで、宗教とお金が強く結びついていきました。

宗教改革(1517年)

1517年、ドイツの修道士マルティン・ルターが「95ヶ条の論題」を教会の扉に貼り出し、免罪符の販売や教会のあり方を厳しく批判しました。

マルティン・ルターの肖像画

マルティン・ルター(1483 - 1546)

これをきっかけにヨーロッパ各地で「宗教改革」という運動が起こり、教皇をトップとするカトリックに反発する形でプロテスタントが誕生しました。

ちなみにカトリック側も、宗教改革をきっかけに教会のあり方や信仰の本質を問い直すようになりました。

三十年戦争(1618 - 1648)

1618年、カトリックとプロテスタントの対立が激化し、ヨーロッパ全体を巻き込んだ大規模な戦争が起こりました。

この戦争は30年間続いたため、「三十年戦争」と呼ばれています。

三十年戦争の様子

三十年戦争の様子

1648年、ヨーロッパ各国により「ウェストファリア条約」が締結され、戦争が終わりました。

ウェストファリア条約では、各国の支配者が自国の宗派を自由に選べることが約束されました。

第2バチカン公会議(1962 - 1965)

1962年から1965年にかけて「第2バチカン公会議」という会議が開催され、世界各国のカトリックの代表者がバチカンに終結し、「教会の現代化」というテーマで議論がなされました。

公会議の様子

公会議の様子
Photo by Lothar Wolleh, CC BY-SA 3.0(cropped), via Wikimedia Commons

その結果、今後はプロテスタントなどの他宗派やユダヤ教などの他宗教を尊重し、共存していくことが決まりました。

カトリックとプロテスタントを学ぶためのおすすめ入門書

 

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まとめ

この記事では、キリスト教の2大宗派であるカトリックとプロテスタントの違いをわかりやすく解説しました。

私たちがひとくくりに「キリスト教徒」と呼んでいる人々も、カトリックかプロテスタントかによって、考え方が大きく異なります。

この記事が皆様の他者理解の一助になれば嬉しいです。