ミルの思想をわかりやすく解説!自由論、質的功利主義とは?

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ジョン・ステュアート・ミル(1806 - 1873)は、功利主義の哲学者です。
このページでは、自由論や質的功利主義といったミルの思想を分かりやすく解説します。
また、ミルの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

  • ミルの主な思想
  • ミルの思想を現代社会で生かす方法
  • ミルのおすすめ入門書

ミルの生涯と時代背景

ミルは1806年にロンドンで生まれ、幼少期から父親から古代ギリシャ語やラテン語などの教育を受けました。

ミルの父親も哲学者であり、功利主義の立場をとっていました。

ミルは学校には通わせてもらえず、家庭で厳しい英才教育を受け、幼少期にとてつもない量の学習をしましたが、21歳の時に本人が「精神の危機」と呼ぶような深刻なうつ状態に陥ってしまいました。

しかし、ハリエット・テイラーという女性との恋愛によってこの危機をしのぎ、その後は会社員や議員として生活しました。

自由を重視する彼の思想は、このような生涯と関係しているのかもしれません。

ミルの主な思想

ジョン・ステュアート・ミルの写真

ジョン・ステュアート・ミル(1806 - 1873)

自由主義

ミルの思想の根底には、自由主義の思想があります。

自由主義とは、その名の通り個人の自由を重視する考え方です。

ミルは主著『自由論』の中で、「人間は、自分自身に対する唯一の権威である。」と主張しました。

この思想は、当時の厳格な道徳観や社会規範からの解放を求める人々に強く支持され、自由主義の根本的な思想として認識されるようになりました。

しかし、ミルにとっての自由とは、「何をしても良い自由」ではありません。

次に解説する「他者危害原則」が非常に重要となります。

他者危害原則

他者危害原則とは、個人の自由は他人を害さない限り、自由に行使できるべきという考え方です。

ミルにとって自由とは、自己中心的な自由放任ではなく、他人の自由を尊重し、同時に社会全体の幸福も追求するものでした。

つまり、人間は他者に危害を与えない範囲で自由なのであり、逆に言えば他者に危害を加えてしまうような自由は認められないということです。

例えば、私が誰もいない場所で好きな歌を口ずさむことは私の自由です。

しかし、隣にいる人がその歌を不快に感じる場合は、私の自由(=歌う自由)が他人の自由(=静かな環境で過ごす自由)を侵害していることになり、私がその歌を歌う自由は認められません。

質的功利主義

質的功利主義とは、功利主義の中でも幸福の量ではなく質を重視する考え方です。

功利主義の創始者とされるジェレミー・ベンサムは、より多くの人がより多くの幸福を享受できる制度を正義とする、「最大多数の最大幸福」という概念を主張しました。

ベンサムの思想については下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご一度ください。

 

tetsugaku-chan.com

 

ミルはベンサムと同様に、「最大多数の最大幸福」を目指すべきだという功利主義の立場を採りました。

しかし、ミルは単なる量的な幸福ではなく質的な幸福を重視し、精神的な幸福は肉体的な幸福よりも価値があると主張しました。

例えば、詩を読む喜びは、食事する喜びよりも価値があり、より大切なものとされたのです。

ミルはこの考え方を、「満足した豚であるより、不満足な人間である方が良く、満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスである方が良い」と表現しています。

他の思想との関係

ミルは、ジェレミー・ベンサムの功利主義から大きな影響を受けました。

しかし、ミルは彼らの単純な功利主義から一歩進め、自由主義との融合を試み、質的な幸福の追求を強調しました。

また、ミルは同時代の思想家であるアレクシス・ド・トクヴィルやオーギュスト・コントなど、幅広い思想を参考にしていたと言われています。

そして、ミルの他者危害原則の思想は、福沢諭吉などによって日本に輸入され、今日の法制度に大きな影響を残しています。

確かに私たち現代日本人には、「人の迷惑にならなければいいかな」という判断基準がありますよね。

実践!ミルの思想を現代社会で生かす方法

ミルの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

自分を規制緩和する

私たちには、「何となくやらない方がいい」と思って自主規制していることがたくさんあります。しかし、その「何となく」を見直してみてはいかがでしょうか。

例えば、「海外は危なそうだから一人で行かない方がいい」「収入が不安定になりそうだから正社員を辞めない方がいい」「ぼったくられそうだからバーには行かない」などなど。

これらの判断は、幼少期の教育や現在の周囲の影響が反映されているかもしれません。そんな時は「人に迷惑をかけないか」という基準で再検討し、基準をクリアしたものは人生経験のために一度やってみてはいかがでしょうか。

ミルのおすすめ入門書

ミルの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。

 

 

 

(おまけ)ミルの面白エピソード

ミルは21歳の時に精神の危機に陥りましたが、そんな彼を救ったのはハリエット・テイラーという女性との恋愛でした。

当時テイラーは既婚者で子供もいましたが、その後テイラーは離婚し、ミルと結婚することになります。

ミルは「満足な豚よりも不満足なソクラテス」と言いましたが、幼少期に膨大な知識(=量)を経験した後、恋愛(=質)によって精神の危機を救われた経験が、彼の質的功利主義を生んだのかもしれませんね。

まとめ

このページでは、自由論や質的功利主義といったミルの思想を解説しました。

ミルの思想は現代日本の法制度や日本人の価値観に色濃く影響を与えているため、ミルの思想を理解することは、私たち自身の価値観の再発見にもつながるかもしれません。