フランクフルト学派とは、1920年代〜1930年代にかけて、ドイツのフランクフルトを中心に活動したグループです。
このページでは、フランクフルト学派の思想を分かりやすく解説します。
また、フランクフルト学派の主な思想家を紹介します。
- フランクフルト学派とは?
- フランクフルト学派の主な思想
- フランクフルト学派の代表的な哲学者
- フランクフルト学派のおすすめ入門書
フランクフルト学派とは?
フランクフルト学派とは、1920年代から1930年代にかけて、ドイツのフランクフルトに設立された社会研究所を中心に形成された思想グループです。
主要なメンバーは、テオドール・アドルノ、マックス・ホルクハイマー、エーリッヒ・フロム、ヘルベルト・マルクーゼといった思想家たちです。
当時のヨーロッパは第二次世界大戦の真っ只中で、ドイツでは民主的に生まれたナチス政権が大衆の支持を得て全体主義化し、ユダヤ人迫害を始めとする非人道的な政策を行っていました。
フランクフルト学派は、理性的であるはずの人間がなぜ全体主義政権を生み出してしまったのかという問いに向き合いました。
フランクフルト学派の主な思想
フランクフルト学派の主な思想を解説します。
批判理論
フランクフルト学派が最も重視したのが「批判理論」です。
「批判理論」とは、社会や文化を客観的に評価し、不公正や抑圧を明らかにする理論です。
フランクフルト学派の思想によれば、当時のドイツの人々は物事を批判的にとらえることを止めてしまっており、その結果として自ら独裁的な政治体制を生んでしまいました。
文化産業論
批判理論の具体例として、「文化産業論」があります。
「文化産業論」とは、大衆文化によって私たちの思考や行動がパターン化してしまい、自由な発想ができなくなってしまうという考え方です。
現代のSNSやネット広告が我々の消費行動をどう誘導しているかを考えると、彼らの理論の現代性を感じることができます。
一次元的人間
「一次元的人間」とは、自分自身の欲望や価値観を批判的に問い直す能力を失った人間のことです。
フランクフルト学派のメンバーであるヘルベルト・マルクーゼは、現代社会において、人々が一次元的人間になってしまっていると主張しました。
マルクーゼは、一次元的人間は社会が提示する選択肢の中から何かを選んでいるだけで、その選択が自分たちの本当の欲望を満たしていると錯覚していると主張しました。
フランクフルト学派の代表的な思想家
フランクフルト学派の代表的な思想家を紹介します。
テオドール・アドルノ
アドルノは、映画、テレビ、音楽といった大衆文化が個人の自由な表現の機会を奪い、個人が物事を批判的に考える能力を奪っていると主張しました。
マックス・ホルクハイマー
ホルクハイマーは、現代社会において理性が物事を効率化するための道具として使われているために、人間の自由と創造性が奪われていると主張しました。
エーリッヒ・フロム
フロムは、人間が自由になると孤独感や無力感を抱えることになり、自ら自由を放棄してしまう傾向があると主張し、この現象を「自由からの逃走」と説明しました。
ユルゲン・ハーバーマス
ハーバーマスは、対話やコミュニケーションを通じて、相手との間に理解や合意を生み出す「対話的理性」を重視し、人々が対話をすることによって人間性を取り戻せるのだと主張しました。
ヘルベルト・マルクーゼ
マルクーゼは、自分自身の欲望や価値観を批判的に問い直す能力を失った人間を「一次元的人間」と呼びました。
そして、一次元的人間にならないためには、自分の価値観を批判的に見直し、社会的な圧力に屈せず自分の人生を生きる勇気を持つことが必要だと主張しました。
他の思想との関係
フランクフルト学派は、マルクス主義の思想とフロイトの心理学を統合したとされています。
マルクスは、法律、政治、文化、宗教といった人々の考え方が、生産手段や生産方式といった物質的な側面によって決められると主張しました。
フロイトは、人間の心の中に「無意識の領域」があることを発見し、人間の意思決定の多くが無意識によってなされていると主張しました。
フランクフルト学派のおすすめ入門書
フランクフルト学派の思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。
まとめ
この記事では、フランクフルト学派の思想について解説しました。
フランクフルト学派の思想は、現代社会に生きる私たちにも深い示唆を与えてくれます。
当時の時代背景や他の思想との関連を知ることによって、より理解が深まることと思います。