ポストモダニズムについてわかりやすく解説!

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ポストモダニズムは、1960年代頃からフランスを中心に流行した哲学です。

この記事では、ポストモダニズムについてわかりやすく解説します。

  • ポストモダニズムの概要
  • ポストモダニズムの代表的な哲学者
  • ポストモダニズムを現代社会で生かす方法
  • ポストモダニズムを学ぶためのおすすめ入門書

ポストモダニズムとは?

何かを考えている女性

西洋近代主義の反省

ポストモダニズムは、西洋近代哲学の考え方に疑問を投げかける哲学です。

「ポスト○○」は「○○の後」、「モダニズム」は「近代主義」という意味なので、「ポストモダニズム」は「近代主義の後の哲学」と言えます。

ちなみに、西洋近代哲学は17世紀から20世紀にかけて発展した思想で、経験主義合理主義という2つの流派があります。

経験主義は実験と経験によって、合理主義は理性と論理的思考によって、この世界の絶対的な真理を解き明かすことを目指しました。

しかし、現実世界はとても複雑で、必ずしも白か黒かをはっきり決められることばかりではありません。

たとえば、科学の進歩は私たちの生活が便利になるというプラス面もあれば、環境破壊や格差の拡大を生むというマイナス面もあります。

ポストモダニズムは、西洋近代哲学によって確立された「物事を一面的に見る姿勢」を反省し、あらゆるものを多様な視点で多用に解釈することを目指す哲学です。

ポストモダニズムは「相対性」の哲学

ポストモダニズムでは、物事にいろいろな側面があることを大切にします。

つまり、絶対的な一つの正解ではなく、たくさんの相対的な考え方があると考えます。

たとえばポストモダン建築では、下の写真のように、普通の建物とはまったく異なる形の建物が作られることがあります。

ポストモダン建築の代表作「M2」の写真

ポストモダン建築の代表作「M2」

Photo by 隈研吾建築都市設計事務所

この建物は、「建物とはこういうものだ」という絶対的な正解(=常識)を見直し、「こういう建物があっても良いじゃないか」という相対的な考え方によって作られています。

ポストモダニズムの主な哲学者

ジャン=フランソワ・リオタール

ジャン・フランソワ・リオタールの写真

ジャン・フランソワ・リオタール(1924 - 1998)
Photo by Bracha L. Ettinger, CC BY-SA 2.5 , via Wikimedia Commons

リオタールは、人々が理性によって1つの正解を追い求め、その正解に向かって社会を前進させていこうとする近代という時代を「大きな物語」と呼びました。

そして、現代では「大きな物語」は意味を失い、その代わりに、文化や個人的な経験に基づく「小さな物語」が重要であると主張しました。

ジル・ドゥルーズ

ジル・ドゥルーズの写真

ジル・ドゥルーズ(1925- 1995)
Photo by Unknown / CC BY-SA 3.0

ドゥルーズは、世界や個人を常に変化し続けるものと捉え、その「差異」こそが「存在」であると主張しました。

例えば、昨日の私と今日の私では、見た目も中身も少しだけ変化しています。

ドゥルーズによれば、この変化そのものが「私」という存在なのだということになります。

また、ドゥルーズは「リゾーム(=根っこ)」のたとえを使って、西洋近代哲学を批判しました。

リゾームのイメージ図

リゾームのイメージ図

木の幹と枝の関係は、あくまでも幹がベースにあり、幹に従属する形で枝が存在します。

西洋の近代哲学は「現実(=枝)」を「理想(=幹)」との関係でとらえてきました。

一方、根っこは幹や枝とは関係なく、無秩序に多方向に伸びていきます。

ドゥルーズは差異が持つ「無秩序さ」や「多様さ」を重視しました。

ミシェル・フーコー

ミシェル・フーコーの写真

ミシェル・フーコー(1926 - 1984)

フーコーは、「正常」と「異常」の線引きが普遍的なものではなく、社会や文化によって変化する相対的なものであると主張しました。

たとえば、一昔前にクールビズの格好をしていたら、周囲から「異常者」と見なされ、スーツを着ることを強制されていたことでしょう。

しかし現代では、真夏にネクタイとジャケットを着ている方が、暑苦しくてむしろ「異常」だと思われてしまいます。

つまり、どんな服装が正常でどんな服装が異常かという線引きは、時代によって異なる相対的なものであると言えます。

ジャック・デリダ

ジャック・デリダの写真

ジャック・デリダ(1930 - 2004)
Chinmoy Guha, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons

一般的に、「男と女」「光と闇」のように、2つの相反するもの同士のペアのことを「二項対立」と言います。

デリダは、二項対立の分析をとおして、その内部にある矛盾や隠れた前提を明らかにし、その支配的な構造を揺るがすことを目指しました。

この考え方は「脱構築」と呼ばれています。

たとえば「光」と「闇」では、一見すると光の方が大切なものだと思われがちです。

しかし、私たちは闇がなければ光を感じることができないため、光が存在するためには闇の存在が必要不可欠とも言えます。

このように、二項対立している2つの概念は、どちらか一方が他方よりも優れているのではなく、相互に依存しあうことで初めて意味を持っているというのがデリダの主張です。

ポストモダニズムから学べること

たくさんの大きな付箋を貼る女性

現代に生きる私たちがポストモダニズムから学べることは何でしょうか。

それは、あらゆることに対して、複数の視点を持つことだと思います。

たとえば、ニュースの内容を自分の視点だけで「良い」か「悪い」と判断するのではなく、

  • このニュースを良いと思う人はどんな人だろうか
  • この出来事が起きた理由は何だろうか

というように、様々な角度から考察することによって、物事をより俯瞰的に見られるようになるでしょう。

ポストモダニズムのおすすめ入門書

 

まとめ

この記事では、ポストモダニズム哲学についてわかりやすく解説しました。

ポストモダニズムは、「絶対的な正解」を求めてきた西洋近代哲学を見直し、「相対性」を重視する哲学です。

ポストモダニズムを学ぶことによって、物事の色々な側面を見られるようになるでしょう。