ストア派の思想をわかりやすく解説!アパテイアとは?

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ストア派は紀元前3世紀に古代ギリシャの哲学者ゼノンによって創始された哲学です。

このページでは、「自然に従う」「アパテイア」といったストア派の思想を分かりやすく解説します。

また、ストア派の思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

  • ストア派の思想
  • ストア派の代表的な哲学者
  • ストア派の思想を現代社会で生かす方法
  • ストア派のおすすめ入門書

ストア派の概要と時代背景

ストア派が流行する以前のギリシャでは、人々はポリスという共同体の中で生活していました。

しかし、紀元前334年~紀元前323年にかけて、マケドニア王国のアレクサンドロス大王が征服戦争によって、ギリシャからインドにわたる広大な帝国を築き上げました。

ポリスで暮らしていた人々は、今まで当たり前と思っていた世界の形がいきなり変わり、とても動揺していました。

ストア派の哲学者たちは、この不安定な世界の中で、個人はどうすれば幸せになれるのかという問いについて考えました。

ストア派の主な思想

ストア派の主な思想を解説します。

ちなみに、「ストイック」という言葉はストア派に由来しています。しかし、ストア派の主張は、私たちが「ストイック」と聞いてイメージするような、極限まで筋トレをするような姿とは少し異なります。

自然に従う

ストア派の根本的な思想は「自然に従う」ということです。「自然」とは宇宙の法則を意味します。

ストア派の考えによれば、人間が抱く不安や欲望といった感情は不自然なものであり、本来の自然の法則からは外れています。そこで、人間は自然の法則に従い自分の役割を果たすことによって、幸せになれるのだと主張しました。

アパテイア

「アパテイア」とは、何事にも動じない心のあり方を言います。

ストア派の思想では、感情(=パトス)を理性(=ロゴス)で制御することによって、アパテイアの境地にたどり着くことを重視します。

アパテイアのイメージ

アパテイアのイメージ

アパテイアによって、人は良いことも悪いことも、ただ事実として受け入れられるようになり、結果としてどのような状況でも幸福でいられるようになります。

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ストア派の代表的な哲学者

ゼノン(創始者)

ゼノン

ゼノン(紀元前335 - 紀元前263)
user:shakko, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ゼノンはストア派の創始者であり、「自然に従って生きよ」と主張したことで知られています。

ゼノンは、理性を正しく働かせ、自然の法則と理性を一致させることによって、人は幸福になれると主張しました。

ルキウス・アンナエウス・セネカ

ルキウス・アンナエウス・セネカ(紀元前1頃 - 65)
Jean-Pol GRANDMONT, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons 

セネカはローマの哲学者・政治家で、ストア派哲学を実践的な形で伝えました。

セネカは著書『人生の短さについて』の中で、人生というものは浪費すれば短く感じるが、過ごし方次第では長く感じるのだと主張しました。

そして、限られた時間を自分のために使うことで人は幸福になれると主張しました。

エピクテトス

エピクテトス

エピクテトス(50頃 - 135頃)

エピクテトスは元奴隷でありながら、ストア派哲学を学び、教えることで名声を得ました。

エピクテトスは、自分がコントロールできるものとできないものを区別することが重要だと主張しました。そして、自分がコントロールできる事だけに焦点を当て、コントロールできないことに対して無駄な心配をしないことによって、精神的な平静を得ることができると主張しました。

マルクス・アウレリウス・アントニヌス

マルクス・アウレリウス

マルクス・アウレリウス・アントニヌス(121 - 180)

マルクス・アウレリウス・アントニヌスはローマ皇帝であり、ストア派哲学を実践していたことでも知られています。

マルクス・アウレリウスは著書『自省録』の中で、「死」を良いものでも悪いものでもなく自然の一部としてとらえるべきだと主張しました。

 

ストア派とエピクロス派との違い

ストア派は、同時代に流行したエピクロス派とよく比較されます。

ストア派とエピクロス派はどちらも個人の幸福を追求する思想ですが、どのように幸福を実践するかという違いがあります。

ストア派では、感情を理性で制御することによって不動の心を得ることを目指しました。

一方、エピクロス派では、感情を揺さぶられる機会をなるべく減らすことによって心の平静を得ることを目指しました。

 

ストア派 エピクロス派
創始者 ゼノン
(前335-前263)
エピクロス
(前341-前270)
格言 "自然に帰れ" "隠れて生きよ"
目指すもの アパテイア
(不動の心)
アタラクシア
(心の平静)
どのように
目指すか
感情を理性で制御する 感情を揺さぶられる
機会を減らす

 

ストア派の思想を現代社会で生かす方法

自分のコントロール下にあることだけに集中する

人間関係において、相手が何を考えているかを気にしてしまうことがあります。

ストア派の思想によれば、自分にはどうしようもできないことには目を向けず、自分のコントロール下にあることだけに集中することで、不動心を得ることができます。

「相手が何を考えるか」ということは自分のコントロール下にはないと考え、あくまでも「自分が何をするか」ということだけを考えて行動することで、余計な悩みに時間を取られないようになるでしょう。

その結果、相手が何を考えるかは相手が決めることであり、こちらが考えることではないということです。

(おまけ)ストア派の面白エピソード

ローマ皇帝のマルクス・アウレリウスは、戦場で兵士とともに過ごしながら、自身の哲学的な思索を書き留めた『自省録』という本を書きました。

この本は、戦争や政治の記録ではなく、自身が考えた哲学的な思考が書かれています。

ちなみにマルクス・アウレリウス・アントニヌスは、ローマ皇帝の中でも賢人とされている「五賢帝」と呼ばれる5人の皇帝の一人です。

皇帝でありながら哲学者として後世に伝えられるマルクス・アウレリウス、すごいですね。

まとめ

この記事では、「自然に従う」「アパテイア」といったストア派の思想をわかりやすく解説しました。

ストア派の思想には、感情のコントロールや物事を客観的に捉えること、自分の役割を理解することなど、現代社会で生きる私たちにも役立つ教えがたくさん詰まっています。

ぜひ、ストア派の思想を日常生活に取り入れて、人生を豊かにしてみてください。