パースの思想をわかりやすく解説!プラグマティズムの格率とは?

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チャールズ・サンダース・パース(1839 - 1914)は、プラグマティズムの創始者とされている哲学者です。

このページでは、「プラグマティズムの格率」をはじめとするパースの思想を分かりやすく解説します。

また、パースの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

  • パースの主な思想
  • パースの思想を現代社会で生かす方法
  • パースのおすすめ入門書

パースの生涯と時代背景

パースは数学者の父を持ち、幼少期から数学や論理学などの英才教育を受けて育ちました。その後は大学教員や科学者として働きながら、独自のプラグマティズム理論を形成していきました。

パースが生きた時代のアメリカは、南北戦争による人種的な分断や、ダーウィンの進化論を巡る宗教的な分断などが問題となっていました。

パースの思想は、このような異なる価値観による対立を解消する1つのヒントとして、アメリカ社会に浸透していきました。

しかし、パースの理論は存命中にはあまり評価されず、晩年は離婚や病気にも苦しめられ、経済的に困窮する生涯を送りました。

パースの主な思想

パースの主な思想を解説します。

プラグマティズムの格率

「プラグマティズムの格率」とは、思考や行動の真実性や価値を、それがもたらす具体的な結果を基準に判断するという考え方です。

簡単に言えば、何かが良い結果を生み出すならば、それは「真実」または「価値がある」とみなすという考え方です。

逆に、どんなに説得力のありそうな理論があっても、実際に良い結果が出なければ、その理論は「誤り」または「無価値」とみなします。

 

例えば、ある食品Aの成分が理論的にはダイエット効果があるはずなのに、実際にAを食べても体重が減らなかったとします。

逆に、食品Bの成分にはダイエット効果は無いはずなのに、実際にBを食べたら体重が減ったとします。

この場合、プラグマティズムの思想では、「食品Bにダイエット効果がある」という結論を出します。

つまり、プラグマティズムとは、理論的に正しいかどうかは横において、実際に行動してみた結果を見て、何が正しいかを決めるという考え方なのです。

なぜそのような結果が出たかは分からないけれど、役に立ってるんだからいいじゃん!という発想ですね

他の思想との関係

パースのプラグマティズム思想は、イギリス経験主義の流れを汲んでいます。

経験主義では、実験や観察によって得られた結果を重視します。

経験主義については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

 

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また、パースの思想は、その後のウィリアム・ジェームズやジョン・デューイによって確立されていきます。

ジェームズはパースの理論を発展的に継承し、「人は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ。」という有名なフレーズを残しています。

これは、「笑う」という結果は「楽しい」という原因によって引き起こされているのではなく、「笑う」という結果によって、初めて「楽しい」ということが真実になるという意味です。

また、デューイは、パースとジェームズの理論をさらに発展させ、「道具主義」という思想を展開しました。これは、「知識」というものを「何か良い結果を出すための道具」のようにとらえる思想で、プラグマティズムの完成形と言える考え方です。

ジェームズとデューイの思想については、下記の記事で詳しく解説しています。

 

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実践!パースの思想を現代社会で生かす方法

パースの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

紙派とデータ派の仲裁

世の中には、資料をプリントアウトして紙媒体として保管したい人と、電子データで保管したい人がいますよね。

彼らは根本的な価値観が違うため、お互いの主張をまるまる受け容れることは難しいでしょう。

そんな時には、パースのプラグマティズム思想を使ってみてはいかがでしょうか。

例えば、計算式が入っているエクセル表であれば、「どのような数式を使っているのかが分かるため、」データで配布する。

逆に、ポンチ絵が描いてあるパワポ資料であれば、「みんなで図を指さしながら会話できるため、」紙で印刷する。

といった具合に、価値観ではなくその有用性を強調することで、泥沼の議論を避けることができるかもしれません

パースのおすすめ入門書

パースの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。

 

 

(おまけ)パースの面白エピソード

パースが存命中に評価されなかった理由の1つに女性問題があったと言われています。

パースには離婚歴があったのですが、当時の伝統的なキリスト教の価値観によって離婚は悪いものとされていたため、大学内でも冷遇されていました。

それによって、彼は要職に就けなかったり、論文を世に知らしめる機会がなかったりしたのではないかと言われています。

偶然だとは思いますが、「良い結果を出せるものが正しい」という彼の思想とは真逆の状況に苦しめられていたのですね。

まとめ

このページでは、プラグマティズムの創始者であるパースの思想について解説しました。

プラグマティズムは、理念よりも実効性を重視する思想です。

異なる価値観の調整が必要となっている現代社会でも、きっと役に立つ思想だと思います。