ホッブズの思想をわかりやすく解説!リヴァイアサンとは?

 本ページにはプロモーションが含まれています

トマス・ホッブズ(1588 -1679)は、社会契約論を唱えた近代イギリスの哲学者です。

この記事では、「万人の万人に対する闘争」「リヴァイアサン」といったホッブズの思想を分かりやすく解説します。

また、現代に生きる私たちがホッブズの思想からどのようなことを学べるのかを紹介します。

  • ホッブズの主な思想
  • ホッブズの思想を現代社会で生かす方法
  • ホッブズのおすすめ入門書

ホッブズの時代背景

ホッブズは1588年にイングランドの聖職者の家庭に生まれ、貴族の家庭教師として生計を立てました。

また、その過程でヨーロッパ大陸を旅行し、フランスやイタリアの哲学者と交流していました。

当時のイングランドは内戦によって混乱しており、国家や政府が十分に機能していませんでした。

ホッブズはそのような時代背景の中で、個人の自由を守るためには強力な国家が必要であると主張しました。

ホッブズの主な思想

ホッブズの主な思想を紹介します。

自然状態

「自然状態」とは、国家や政府が存在する以前の世界のことを言います。

ホッブズは、そもそもなぜ国家が存在するのかを考えるうえで、自然状態では人々がどのように行動するのかを考えました。

万人の万人に対する闘争

「万人の万人に対する闘争」とは、自然状態において、人々が自己保身のために争いを繰り返していたという考え方です。

ホッブズは、自然状態では人々が自分の身を守るために他者を攻撃するため、世の中は絶えず争いが起きている状態であったと主張しました。

社会契約

「社会契約」とは、人々が自分たちの権利を守るために、自らの権利を譲渡して、国家(=政府)を作る契約を結ぶことを言います。

ホッブズによれば、自然状態は「万人の万人による闘争」状態なので、人々は常に危険にさらされています。

そこで、人々は平和な社会を築くために、自分の権利を全面的に国家に譲渡することを選択します。

ホッブズの社会契約

ホッブズの社会契約の流れ

リヴァイアサン

リヴァイアサンとは神話に出てくる怪物のことで、下図のような姿をしています。

リヴァイアサン

リヴァイアサン

争いの絶えない世の中では、国家というものは国民同士の争いを確実に止められるような、絶対的な権力を持つ必要があります。

そこでホッブズは、このリヴァイアサンのような強力な国家を作るべきだと主張します。

この考え方は、国王に権力を集中させる「絶対王政」の理論的支柱になりました。

他の思想との関係

ホッブズが主張した「自然状態」や「社会契約」の思想については、ジョン・ロックやジャン・ジャック・ルソーもそれぞれ提唱しました。

ただし、自然状態がどのような状態であったかという想定や、人々が社会契約を結ぶ意義については、それぞれの哲学者が独自の見解を出しています。

ホッブズの思想を現代で生かす方法

現代に生きる私たちが、ホッブズの思想を生かす方法を紹介します。

警戒心を持って生きる

私たちはある程度、法律で守られた平和な世界で生きています。

これに慣れきってしまうと、もし誰かが法律を破ったり、法律の抜け穴をついてあなたを攻撃してきた時に、上手く対処できない可能性があります。

そのため、時々ホッブズの「万人の万人に対する闘争」の話を思い出し、常にある程度の警戒心を持っておきたいものです。

例えば、ATMでお金を引き出している時背後に人がいないか、スマホの契約で余計なオプションに加入してしまっていないか、など。

ただ、疑心暗鬼になりすぎてもダメなので、バランスが大事ですね。

社会のルールを尊重する

ホッブズの社会契約説の理論では、国家や法律が存在するのは、人々が平和で安定した生活を送るためとされます。

現代のような世知辛い世界では、「自分にとって得であれば、法律など破っても良い」という考え方を持ってしまうかもしれません。

しかし、もし本当に法律が機能しなくなり、ホッブズの言う自然状態になってしまったら、最終的には自分を含め全員が損をしてしまうかもしれないことを覚えておきましょう。

厳しい上司を演じる

もしあなたが管理職など組織のリーダーであれば、チームの秩序を守るために、リヴァイアサンのような怖い上司を演じてみてはいかがでしょうか。

結果を出せるリーダーは、何かしらの方法でメンバーを同じ方向に向かわせています。

部下には嫌われますが、時と場合によって少しだけリヴァイアサン上司を演じることで、チームの方向性をコントロールし、結果を出せるかもしれません。

ホッブズのおすすめ入門書

ホッブズの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。

 

(おまけ)ホッブズの面白エピソード

ホッブズは知的好奇心旺盛な人物であり、90歳近くまで生きました。

代表作「リヴァイアサン」も、彼が64才の時に出版されたものです。

また、ホッブズは数学にも興味を持ち、フランスの哲学者ルネ・デカルトとも数学について対談しています。ただし、2人は互いの考えに異を唱え、結局友情は築けなかったと言われています。

まとめ

この記事では、「万人の万人に対する闘争」「リヴァイアサン」といったトマス・ホッブズの思想をわかりやすく解説しました。

リヴァイアサンというたとえはインパクトが大きいですが、実はホッブズの思想の根本にあるのは「個人の自由を守る」という発想であることを強調しておきたいと思います。