社会契約論とは、国家や政府が存在する理由を考える理論です。
この記事では、社会契約論の基本的な考えや、代表的な思想家であるホッブズ、ロック、ルソーの違いについてわかりやすく解説します。
- 社会契約論の基本的な考え方
- ホッブズ、ロック、ルソーの社会契約論
- 社会契約論のおすすめ入門書
<PR>
社会契約論とは?
社会契約論とは、政府が存在する以前の世の中の状況を予想し、人々が政府を生み出すメカニズムを説明する理論です。
代表的な哲学者はトマス・ホッブズ、ジョン・ロック、ジャン=ジャック・ルソーの3人です。
彼らは政府が生まれる以前の原始的な世界を「自然状態」と呼び、そこから人々が契約によって自らの権利を政府に譲渡したのだと主張しました。
社会契約論の時代背景
社会契約論が誕生した17世紀のヨーロッパでは、「王権神授説」という考え方が主流でした。
王権神授説では、国王の権力は神によって与えられたと考えます。
そのため、国王は神のみに責任を負うだけで、国民に対しては責任を負う必要はないということになっていました。
社会契約論は、王権神授説を否定し、人々が契約を結ぶことによって国家が成立したのだと主張し、議会や民主主義といった制度を理論面で支えようとしました。
<PR>
ホッブズの社会契約論
イギリスの哲学者トマス・ホッブズ(1588-1679)は、自然状態では人々が自己保身のために争いを続ける「万人の万人に対する闘争」の世の中であったと考えました。
そこで、人々は争いを避けるために政府を作る契約(=社会契約)を結び、自分たちの権利を全面的に政府に譲渡します。
そして、権力を持った政府が法や秩序を維持し、平和な世界が生まれるというのがホッブズの主張です。
ロックの社会契約論
同じくイギリスの哲学者ジョン・ロック(1632-1704)は、自然状態は自由で平等で平和な世の中であったと考えました。
しかし、人々が自由に行動した結果、富を持つ人々と持たない人々が生まれ、争いが発生します。
争いが起きると、人々が本来持っていた自分の財産を自分のものだと主張する権利(=財産権)が守られなくなってしまいます。
そこで、人々は争いを避けるために政府を作る契約(=社会契約)を結び、自分たちの権利の一部を政府に譲渡します。
さらにロックは、もし政府が国民の権利を侵害してきた場合は、国民には政府に対して抵抗する権利(=抵抗権)があると主張しました。
ルソーの社会契約論
フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソー(1712-1778)は、自然状態では人々が他者への「憐れみの心」を持ち、お互いに助け合う世界であったと考えました。
しかし、文明や学問が発達した結果、人々が憐みの心を失ってしまい、不平等な世の中が形成されていきました。
そこでルソーは、人々が社会契約を結ぶことによって、共同体全体の利益である「一般意志」を実現することができると主張しました。
<PR>
ホッブズ、ロック、ルソーの違い
ホッブズ、ロック、ルソーの社会契約論のまとめ表です。
ホッブズ | ロック | ルソー | |
---|---|---|---|
自然状態 | 万人の万人に 対する闘争 |
自由・平等・平和 | 憐みの心で 助け合う |
重視するもの | 自己保身 | 私有財産権 | 一般意志 |
社会契約を 結ぶ目的 |
身体的安全を 確保するため |
財産権を保護 するため |
共同体の利益を 実現するため |
特徴 | 人々は政府に 全面的に権利を 譲渡する |
政府が人権を 侵害した時には 政府に対して 抵抗できる |
個人の欲望ではなく、 社会全体にとっての 利益である一般意志 を実現する |
社会契約論のおすすめ入門書
<PR>
じっくり本と向き合う時間が取れない方には、Amazonの「聞く読書」Audibleがおすすめです。
スキマ時間や移動時間に読書!
本をダウンロードしてオフライン再生も可能!
対象商品が読み放題!
まとめ
この記事では、社会契約論の基本的な考えと、主要な思想家であるホッブズ、ロック、ルソーの違いについてわかりやすく解説しました。
社会契約論は、政府が存在する以前の「自然状態」を予想し、人々が社会契約によって政府を生み出すメカニズムを説明する理論です。
ホッブズ、ロック、ルソーは、それぞれ独自の自然状態を描き、人々が社会契約を結ぶに至った経緯や目的を主張しました。