プラトン(紀元前427頃 - 紀元前347頃)は、古代ギリシャの哲学者です。
この記事では、「イデア」「洞窟の比喩」「魂の三分説」といったプラトンの思想を分かりやすく解説します。
また、プラトンの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。
- プラトンの思想
- プラトンの思想を現代社会で生かす方法
- プラトンのおすすめ入門書
プラトンの生涯と時代背景
プラトンは紀元前427年にアテネの貴族の家に生まれ、幼少期から優れた教育を受けました。
20歳の時に哲学者ソクラテスと出会い、その哲学に感銘を受けて弟子になります。
その後、プラトンは師であるソクラテスの教えをもとに「イデア論」という後世に語り継がれる哲学を提唱しました。
また、プラトンは弟子のアリストテレスとの議論も有名です。
プラトンの主な思想
プラトンの主な思想を紹介します。
イデア論
「イデア論」とは、現実世界のすべてのものが、理念(イデア)という永遠不変の本質に基づいて存在するという考え方です。
例えば、世の中にはたくさんのリンゴがありますが、その全ての背後には「リンゴのイデア」という本質が存在すると考えます。
現実の世界に存在する一つ一つのリンゴは、たとえ同じブランドであっても色や形、味などが少しずつ異なっており、完全に同一のリンゴというものは存在しません。
一方で、私たちは「リンゴ」と聞くと、赤くて丸いリンゴの姿をイメージすることができますが、その想像上のリンゴは特定のリンゴの姿(=あの時に食べたあのリンゴ)ではなく、これまで見てきた数多くのリンゴの平均値のような絵になっているはずです。
プラトンはその想像上のリンゴを「イデア」と呼び、現実世界のあらゆるリンゴはリンゴのイデアの模倣であると主張したのでした。
洞窟の比喩
「洞窟の比喩(どうくつのひゆ)」は、プラトンがイデア論を説明するために用いたたとえ話です。
ある囚人が洞窟の中に拘束されています。
洞窟にはたき火があり、たき火の前で看守が動物の模型を持っています。
囚人は洞窟の壁に移った模型の影を見て、それが本物の動物だと思い込んでいます。
プラトンは、私たち人間は洞窟の中に住んでいる囚人のような存在であり、世界の本質(=イデア)は私たちには見えないところあるのだと主張しました。
魂の三分説
「魂の三分説」とは、人間の魂が「理性」「気概」「欲望」の三つの異なる部分から成り立っているという考え方です。
プラトンはそれぞれの魂をバランスよく磨くことで、「知恵」「勇気」「節制」という三つの徳が実現され、理想的な人間になることができると考えました。
理性 | 気概 | 欲望 | |
---|---|---|---|
実現される徳 | 知恵 | 勇気 | 節制 |
できること | 真実と善につ いて深く理解 する |
危険に直面し ても正しいこ とを行う |
欲望を適切に 管理する |
また、プラトンは統治者が「知恵」、戦士が「勇気」、市民が「節制」を実現することによって、個人だけでなく国家レベルでの正義が実現されると考えました。
特に、プラトンは知恵をもって国家を正しく導く者を「哲人王」と呼び、哲人王こそが理想の統治者であると主張しました。
統治者 (哲人王) |
戦士 | 市民 | |
---|---|---|---|
求められる徳 | 知恵 | 勇気 | 節制 |
具体例 | 国家の利益の ために賢明な 決定をする |
命をかけて国 家を防衛する |
過剰な消費を 避ける |
実践!プラトンの思想を現代社会で生かす方法
現代社会でプラトンの思想を生かす方法を紹介します。
物事の本質を見極める
物事の表面だけではなく、その背後にある本質を見極めようとする姿勢を持つことで、より深い理解ができるかもしれません。
倫理的なリーダーシップ
哲人王とまではいかなくても、真理や正義を追求することで、人々から信頼される善いリーダーになることができるかもしれません。
プラトンのおすすめ入門書
プラトンの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。
(おまけ)プラトンはレスリング王者
プラトンは体格が良く、レスリングの大会で優勝するほどの実力だったと言われています。
プラトンの名前も、幅広い肩(プラテューン)にちなんで付けられたという説もあります。
まとめ
この記事では、「イデア論」「洞窟の比喩」「魂の三分説」といったプラトンの思想についてわかりやすく解説しました。
プラトンの思想を一言でいえば、「理想を追求する哲学」です。
現代社会を理解するうえでも、個人としての生き方を考えるうえでも、ぜひ学んでおきたい哲学者のひとりだと思います。