エドマンド・バークの思想をわかりやすく解説!保守思想とは?

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エドマンド・バーク(1729 - 1797)はイギリスの哲学者です。

バークは主著『フランス革命の省察』の中で急進的な革命に対して異議を唱えたことから、「保守思想の父」と呼ばれています。

この記事では、バークの思想を分かりやすく解説します。

また、バークの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

  • バークの思想
  • バークの思想を現代社会で生かす方法
  • バークのおすすめ入門書

バークの生涯と時代背景

バークは1729年にアイルランドで生まれ、青年期に文学や法学を学んだ後、政治家として活躍しました。

そして、晩年にあたる1789年にフランス革命が起こりました。フランス革命では、国王の絶対的な権力に反対する市民たちが「自由・平等・博愛」を求めて暴動を起こしました。

バークはもともと個人の自由を重視していましたが、主著『フランス革命の省察』では、急進的な革命に対して否定的な見解を示しています。

実際に、バークの死後、革命は過激化していき、新政権による恐怖政治や国王の処刑を経て、ナポレオンの独裁政治を生み出します。

バークの主な思想

バークの主な思想を解説します。

理性の限界

バークは人間の理性には限界があると主張しました。

なぜなら、現実の世界には様々な要素や状況が相互に関連しながら複雑に絡み合っており、一つの理論で説明することは不可能だからです。

例えば、「畑に除草剤をまけば、雑草が無くなり、野菜に栄養が行き届く」という理論は分かりやすいですが、実際に除草剤をまいてみると、土の中の微生物も一緒に死んでしまい、結果として野菜に栄養が行き届かなくなってしまうことがあります。

フランス革命の例で言えば、「国王を倒せば、市民に権力が移り、自分たちの理想の政治が実現できる」という理論があったはずですが、実際には独裁政権の下で、人々は自由を失っていってしまいました。

保守主義

「保守主義」とは、理性ではなく伝統を重視して物事を決めていく考え方です。

バークは、社会を変化させる時には既存の制度や伝統を壊さないように行われるべきだと考えていました。

なぜなら、社会の一部を大幅に変更してしまうと、他の部分に予期しない結果が生じてしまうかもしれないからです。

日本で「保守主義」と言うと、「戦前の日本に戻る」とか「新しいことを拒否する」といったネガティブなイメージが先行しがちです。

しかし、保守主義の源流ともいえるバークの思想は「世の中を変えない」ということを主張しているのではなく、むしろ世の中を変えるために、既存の仕組みを壊さないように、物事を少しずつ変化させていくという考え方なのです。

他の思想との関係

バークはイギリス経験主義思想の影響を受けています。経験主義とは、頭で考える理性よりも、実際にやってみた結果を重視する考え方です。

その反対に、人間の理性を重視する考え方が合理主義です。フランス革命は、理性によって世界の理想の姿を考え、既存の仕組みを壊すことでその姿に近づこうとした試みだったと言えるでしょう。

実践!バークの思想を現代社会で生かす方法

バークの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。

既存の仕組みの「良さ」を理解する

人は何かを変革したいと考える時、その気持ちが強ければ強いほど、既存の仕組みの全てが悪いもののように思えてしまうことがあります。

しかし、既存の仕組みは何らかの「良さ」があるために、これまで採用されてきたはずです。つまり、既存の仕組みによって誰かが助かっていることもあるし、知らないうちに自分も恩恵を受けていることがあるかもしれません。

そういった現状の「良さ」を無視して変革を進めてしまうと、どこかで反発に遭い、結果として理想を実現することはできないでしょう。

何かを変革したいのであれば、現状の「悪さ」だけではなく「良さ」もしっかり理解したうえで、その背景にある価値観を壊さないように話を進めていくことをおすすめします。

バークのおすすめ入門書

バークの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。

(おまけ)バークの面白エピソード

「保守思想の父」は自由党出身

バークが活躍した当時、イギリスには、トーリー党とホイッグ党という2大政党がありました。トーリー党は現在の保守党、ホイッグ党は現在の自由党となっています。

バークは「保守思想の父」と呼ばれ、保守の代表的な思想家として有名ですが、実は自由主義的なホイッグ党に所属していました。

バークの思想は、現代でイメージされる「保守」とは少し異なるものであったようです。

まとめ

この記事では、「保守主義の父」と呼ばれるエドマンド・バークの思想を解説しました。既存の仕組みの良さを壊さないように変革を進めるというバークの思想は、現代に生きる私たちにとっても、参考になるのではないでしょうか。