ブレーズ・パスカル(1623 - 1662)は、近代ヨーロッパを代表する数学者・哲学者・神学者です。
この記事では、パスカルの思想を分かりやすく解説します。
また、パスカルの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。
- パスカルの思想
- パスカルの思想を現代社会で生かす方法
- パスカルのおすすめ入門書
パスカルの時代背景
パスカルが生きた17世紀のヨーロッパは、科学革命の真っ只中で、ニュートンやガリレオが活躍しました。
パスカルも科学者として、物理学、特に流体力学と圧力について重要な発見をしています。
一方、当時のヨーロッパは宗教改革によって、カトリックとプロテスタントというキリスト教の2つの流派の間で争いが起きていました。
パスカルはカトリックの思想に影響を受け、人間の堕落と救済についての思索を展開しました。
パスカルの主な思想
パスカルの主な思想を解説します。
パスカルの思想の大部分は、彼の死後に出版された著書『パンセ』に書かれています。
「パンセ」とは、フランス語で「思考」という意味です。
考える葦
パスカルは、「人間は考える葦(あし)である」という有名なフレーズを残しました。
「葦」は植物の名前です。
パスカルによれば、人間は風に揺れることで簡単に折れてしまう葦のような、か弱い存在です。
しかし、人間はただの葦とは異なり、考えることができます。
この考える力を使うことで、人間は他の生物よりも優れた存在になることができているのです。
クレオパトラの鼻
パスカルは「クレオパトラの鼻がもう少し低ければ、世界の歴史は違うものになったであろう」と主張しました。
クレオパトラは古代エジプトの女王で、その美貌を使って他国の王を出し抜いたことで有名です。
そんなクレオパトラの鼻がもう少し低かったとしたら(=もう少し美人ではなかったら)、古代の歴史が変わり、その結果として現代の世の中も全く違うものになっていたかもしれません。
パスカルは、ちょっとした偶然が世界の歴史や誰かの人生に大きな影響を及ぼすと考えました。
パスカルの賭け
「パスカルの賭け」とは、神の存在を信じるかどうかという選択に対して、理性ではなく賭けで「信じるべき」とする考え方です。
パスカルはまず、神が存在するかどうかは人間には分からないという前提に立ちます。
つまり、理性で考えても神が存在するかどうかは判明しないということです。
そのうえで、神の存在を信じた場合には、無限の報酬(永遠の命)を得る可能性がありますし、仮に神が存在しなかったとしても、死ぬまでそのことは分かりません。
つまり、ノーリスクハイリターンです。
一方で、神の存在を信じない場合は何も得ることができません。
つまり、ノーリスクノーリターンです。
したがって、神を信じるべきだという結論が導かれます。
自己愛
パスカルは、人間が自己中心的で自己愛的な存在であると主張しました。
パスカルは、人間が自己を過度に愛することで、真実から目を逸らし、人間関係を乱してしまうと警告しています。
信仰と理性
パスカルは理性と信仰を対立するものではなく、補完するものと見ていました。
パスカルは、神の存在は理性では証明できないが、信仰によって理解できると考えました。
他の思想との関係
パスカルは、4世紀のキリスト教神学者アウグスティヌスの影響を受けています。
特に、人間の弱さや原罪の発想、そして神への信仰の重要性といった思想は、アウグスティヌスの思想が垣間見えます。
また、パスカルの思想は後世の実存主義に影響を与えました。
実践!パスカルの思想を現代社会で生かす方法
パスカルの思想を現代社会で生かす方法を紹介します。
偶然を受け入れる
パスカルは偶然性を受け入れ、理性だけでは解明できない謎に対して謙虚なスタンスを取りました。
私たちは物事に真剣になればなるほど、絶対に結果を出したいと思えば思うほど、「確実なもの」を求めてしまいがちです。
しかしよく考えてみれば、私たちの身の回りには「偶然」で満ちあふれています。
今日の天気、誰かの機嫌、信号が変わるタイミング…などなど。
これらの偶然をしっかり受け入れることで、前向きに生きることができるでしょう。
パスカルのおすすめ入門書
パスカルの思想を学ぶためのおすすめ入門書を紹介します。
(おまけ)パスカルの面白エピソード
パスカルは、数学と物理学にも大きな貢献をしました。
彼が16歳の時に書いた論文は、有名な数学者デカルトに称賛されたほどです。
また、パスカルが製作した計算機は、現代のコンピュータの先駆けとも言われています。
まとめ
この記事では、「考える葦」「パスカルの賭け」といった、パスカルの思想を解説しました。
パスカルは気圧の単位(Pa)としても有名ですが、哲学の世界でも重要人物と言えます。