「ビュリダンのロバ」を具体例とともにわかりやすく解説!

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「ビュリダンのロバ」のタイトル

ビュリダンのロバ」とは、中世ヨーロッパの哲学者が提唱した、自由意志に関する思考実験です。

この記事では、「ビュリダンのロバ」について、具体例を用いてわかりやすく解説します。

また、現代社会で生きる私たちが「ビュリダンのロバ」から学べることを紹介します。

  • 「ビュリダンのロバ」がどのような思考実験か
  • 「ビュリダンのロバ」が何を伝えたいのか
  • 「ビュリダンのロバ」から私たちが学べること

「ビュリダンのロバ」とは?

ロバ

あるところに、合理的でとても賢いロバがいました。

ロバの前には2本の道があり、それぞれの道には同じ量・同じ種類のエサが置いてあります。また、これらのエサはロバから等しい距離に置かれています。

「ビュリダンのロバ」のイメージ

「ビュリダンのロバ」のイメージ

ロバはどちらの道を進むべきかを考えますが、結局どちらも選ぶことができず、なんと餓死してしまいます。

「ビュリダンのロバ」は何を伝えたいのか

疑問に思う女性

「ビュリダンのロバ」の思考実験を読み解くためには、「決定論」と「自由意志論」という2つの概念を考える必要があります。

決定論

「決定論」とは、私たちの思考や行動は外部の何かによって決定されているという考え方です。

決定論の立場に立つと、ロバが通常は何らかの外的要因によって行動するはずが、2つの条件が完全に同一であるために、どちらを選ぶ理由もなくなってしまい、餓死してしまうのだという結論になります。

ちなみに中世ヨーロッパでは、決定論は「神」によって説明されました。

自由意志論

「自由意志論」とは、私たちの思考や行動は、あくまでも私たちが自由な意志によって決めているという考え方です。

自由意志論の立場に立つと、ロバは「このままでは餓死してしまう」と考え、どちらかのエサを食べるという自由な行動に出るはずだという結論になります。

「ビュリダンのロバ」の本質は決定論vs自由意志論

「ビュリダンのロバ」は、中世ヨーロッパの哲学者ジャン・ビュリダンの決定論を批判するために考えられたと考えられています。

普通に考えて、実際に自分がロバだったら「このままでは餓死してしまう」と考えて、どちらかのエサを食べますよね。

自由意志論の哲学者たちは、こうした普通の感覚からビュリダンの決定論を批判し、自由意志の存在を証明しようとしたのでした。

この決定論と自由意志論の論争は、現代の哲学にも受け継がれています。

「ビュリダンのロバ」の具体例

二つの扉

例えば、高額な家電を買おうとした時に、2種類の製品の値段や機能が全く一緒で、デザインの好みも同じくらいだった場合、どちらを買うかなかなか決断できないことがありますよね。

そして、もし次の日に片方の商品が割り引きされていたら、多くの人は割り引きされた方を買うのではないでしょうか。

これは見方を変えれば、どちらを買うのかという「選択」を自分の外側の要因にゆだねていると言えます。

「ビュリダンのロバ」から私たちが学べること

考える女性

私たちは「ビュリダンのロバ」からどのようなことを学べるでしょうか。

それは、外部の条件と自分の意思をなるべく区別することだと思います。

人は100%自分の意志で選択しているつもりでも、無意識のうちに自分の外側にある何かを判断材料にしているものです。

一方で、きっと何%かは心の底から湧き出るような動機があるのだと思います。

何かを判断しようとする際に、どこまでが自分の気持ちで、どこまでがそれ以外のものなのかを意識することが大切だと思います。

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まとめ

この記事では、「ビュリダンのロバ」の思考実験について、具体例を用いてわかりやすく解説しました。

「ビュリダンのロバ」は、人間に自由意志があるかどうかを考える思考実験です。

私たちの行動は100%自分の意志で決まっているわけではないし、逆に、外部要因だけで決まっているわけではないということを思い出させてくれる哲学ですね。